可変電圧リニアレギュレータのDAコンバータ制御③
作成者:mou-mou
可変電圧リニアレギュレータのDAコンバータ制御②に続いて、今回はAdj端子(FB端子)の抵抗値の総和からR1,R2,R3の値を求める方法をご紹介いたします。
結論からですが、R1,R2,R3の抵抗値は以下の式によって求めることが出来ます。
では、この式の導き出し方についてご説明いたします。
可変電圧リニアレギュレータのDAコンバータ制御②の最後の結果式からスタートします。
【数式1】
Adj端子(FB端子)の抵抗値の総和をRadjとした場合、R2とR3が等しいことから、以下の式となります。
【数式2】
【数式1】を移行して、さらにR1の逆数を求める式へと変化させます。
【数式3】
【数式4】
【数式2】に【数式4】を代入します。
【数式5】
【数式5】を整理していきます。
【数式6】
【数式6】から、移項することで、R2(=R3)を求める式となります。
【数式7】
【数式1】に【数式7】を代入します。
【数式8】
【数式8】から、移項することで、R1を求める式となります。
【数式9】
【数式9】を整理していきます。
【数式10】
【数式10】を少しR変形させて1を求める式も完成です。
【数式11】
では、この【数式7】と【数式11】を使って、実際にTPS73101を使用した場合の回路の抵抗値を求めていきます。
Vmaxは、5Vとします。TPS73101のデータシートから、Vadjは1.204V Radjは19kΩとします。
計算結果は以下の通りです。
Adj端子(FB端子)の抵抗値の総和を念のために確認します。
では、この値でシミュレーションしてみます。
意図通りのシミュレーション結果を得ることが出来ました。
実際の回路では、R1~R3は合成抵抗による近似値で実現すると良いでしょう。
精度が要求される場合は、
・誤差が小さく、温度特性の良い抵抗を使用する
・R1は可変抵抗と組み合わせで微調整する
・R2とR3は抵抗アレーで出来る限り相対誤差を減らす
などの対策を行うと良いと考えます。
Pericallisユニバーサルテスタでは、この回路を使用して、2電源双方向レベルシフタSN74LVC8T245へ電源供給することで、1.8V~5Vの可変電圧デジタルI/Oの実現しております。